臨床工学科

臨床工学技士は、メディカルスタッフの一職種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。
今後ますます増大する医療機器の安全確保と、有効性維持の担い手として、チーム医療に貢献しています。

当院では、7名の臨床工学技士が勤務しており、ローテーションで心臓カテーテル業務(アブレーション含む)、ペースメーカ関連 業務、血液浄化業務、手術室関連業務(術中神経モニタリング、スコープオペレーター)、医療機器管理業務に従事しています。

またチーム医療の一員として、RST、MACT活動にも積極的に参加しています。

臨床工学科の業務内容とキャリアプラン

心臓カテーテル検査業務

血管造影室では、心臓カテーテルでの検査や経皮的冠動脈形成治療(PCI)、ペースメーカ植込み術などが行われています。

冠動脈造影時のポリグラフ(心電図・心内圧の測定)等の検査装置や、ロータブレーター、画像診断装置(IVUS:血管内超音波)等の治療に必要な機器の操作・管理を主に行います。

緊急症例や重症症例に関しては大動脈バルーンパンピング(IABP)やV-A ECMO等の対応も行なっています。

 

アブレーション業務

カテーテルアブレーションは、不整脈の代表的な治療法です。
治療用のカテーテルで、不整脈を起こす原因となっている
異常な電気興奮の発生箇所を焼き切ります。

臨床工学技士は、心臓電気生理検査にて得られた情報で3Dマッピングを作成し、異常な電気興奮の発生箇所を医師に伝えます。

 

ペースメーカ業務

ペースメーカ関連業務では、植え込み手術に立ち会い、プログラマーを操作して、デバイスチェックや動作設定などを行っています。

また、ペースメーカ外来では、循環器医師と共に定期的にフォローアップを行っています。

 

 

 

 

血液浄化業務

2019年6月より透析室が2床でオープンし、入院患者を対象として透析が行われています。
臨床工学技士の透析室業務は、穿刺や人工透析装置の操作を行います。
また集中管理が必要な患者に対し、HCUにて持続的血液浄化装置の操作と管理を行います。

 

 

手術室関連業務

  • 術中神経モニタリング業務

    2024年4月より開始した業務です。脳外科手術時に障害される可能性がある脳神経の機能を測定する

    ことによって、運動野や言語中枢などの位置の特定や神経機能の状態を監視し、術後の神経機能障害を

    予防します。

  • スコープオペレータ業務

    2024年9月より開始した業務です。内視鏡外科手術のカメラを保持して術野の視覚確保を担います。

    医師の負担を軽減し、術中操作に専念できるようにします。

医療機器管理業務

院内にある医療機器の34機種、603台を管理しています。

これらの医療機器は、定期点検の計画を立て、予定通りに

保守点検が進むようマネージメントしています。

医療機器が安全に使用できるよう、使用する職種に対し、

1回/年以上の研修会を行なっています。

 

 

 

 

RST(Respiratory care Support Team)

RSTでは、呼吸療法に精通した医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士がチームとなり、人工呼吸器や呼吸ケアに関する支援を行っています。

週1回のラウンドでは、人工呼吸器の安全管理、設定に関する助言、口腔ケアに関する助言、リハビリテーションに関する助言などを行っています。

 

 

 

 

MACT(Monitor Alarm Control Team)

2012年より安全に心電図モニタ管理ができるよう、MACTのメンバーとして活動しています。

週1回のラウンドでは、リンクスタッフと共に病棟をラウンドしていますが、この時に病棟のベッドサイドモニタの時刻調整も行なっています。

 

研究活動

学会発表

  • 島田優香、UPSの温度異常アラームが招いたインシデント事例、第33回日本臨床工学会
  • 茂木良祐、医療機器管理システムHITOTSU Assetへの更新と評価、第34回日本臨床工学会
  • 茂木良祐、HITOTSU Link導入によるコミュニケーション改革と業務改善の効果、第34回日本臨床工学会
  • 富永あや子、アラーム低減のための生体情報モニタ管理、第34回埼玉臨床工学会
  • 富永あや子、MACTラウンドの質向上を目指した取り組み、第19回医療の質・安全学会
  • 島田優香、心電図モニタ研修の新たな取り組みについて、第19回医療の質・安全学会

書籍

  • 石田岳史、冨田晴樹、富永あや子
    心電図教えてノート 改訂2版~チームでモニター事故を予防する~
    中外医学社 2020年3月

執筆

  • 島田優香、心電図モニタ簡易マニュアルを用いた教育の試み、Clinical Engineering Vol.35.No.8.2024

講演

  • 茂木良祐、HITOTSU Linkと私たち、第34回日本臨床工学会共済学術セミナー
  • 富永あや子、MACTによる生体情報モニタのアラーム管理、全国自治体病院協議会2024年度臨床工学部会オンラインセミナー
  • 富永あや子、生体情報モニタのアラーム対応、第43回医療安全管理者ネットワーク会議

認定資格

  • 医療安全管理責任者:1人
  • 呼吸療法認定士:1人
  • 透析技術認定士:1人
  • 植え込み型心臓不整脈デバイス認定士:1人
  • MEDIC:1人