耳鼻咽喉科

 

2024年4月より常勤医師1名、非常勤3名体制にて、耳科手術・鼻科手術に積極的に取り組んでおります。咽頭・頸部の加療につきましては、ご紹介前に当センター地域医療連携室にご連絡頂ければ幸いです。今後も診療体制の充実に努めてまいります。

  2024年9月1日 さいたま市民医療センター 耳鼻咽喉科

特色

当施設では、短期耳科手術(聴力改善手術)力を入れております。日帰りから2泊3日~と病態と手術内容の併せて柔軟な対応が可能です。また、難聴・補聴外来を充実させ、補聴器リハビリと適切な補聴器調整に取り組んでおります。難治性の副鼻腔炎や中耳炎についても専門的な治療が可能です。


耳疾患

  • 難聴の評価については、標準聴力検査や語音検査、自記オージオメトリー、耳鳴検査、耳管機能検査(TTAG含む)、OAE,ABR,CT、MRIなどを組み合わせ難聴の精査を行なっております。
  • 突発性難聴、メニエール病、前庭神経炎、顔面神経麻痺などについては、どの疾患も個々の状況を十分に検討しながら、必要であれば当日入院も含め早期治療およびリハビリテーションを行っています。
  • 外リンパ瘻についてはCTP検査を用い診断に活用しております。
    末梢性顔面神経麻痺については発症後7日から10日時点におけるENoGを用いた評価を行い、必要であれば顔面神経減荷術を検討します。
  • 難治性中耳炎である好酸球性中耳炎に対するケナコルト鼓室内注入術を行なっています。突発性難聴および重度顔面神経麻痺に対するステロイド鼓室内注射を行っております。当院では高圧酸素療法や星状神経節ブロックは行っておりません)

手術加療

  • 局所麻酔下での日帰り手術を行っております(リティンパ®︎を用いた鼓膜閉鎖術や鼓膜形成術、内視鏡下鼓室形成術など)。
  • 全身麻酔下での短期耳科手術(2泊3日~)を行っております。
    鼓室形成術・あぶみ骨手術(聴力改善手術)
  • 外リンパ瘻や顔面神経麻痺に対する緊急手術に対応しております。

補聴・難聴外来

隔週月・金曜日にご予約を受付ております。

当院の難聴・補聴外来は、補聴器適合判定医師、言語聴覚士、認定補聴器技能者(補聴器販売店)が連携し、補聴器による聴こえの向上を目指しております。

ヒトの耳(耳介・外耳道)は人それぞれであり、同じ補聴器を装着しても鼓膜に届く音・聴こえ方は人により異なります。当院では「実耳測定」を用い、 “一人ひとりの耳の形に合わせて”調整をし、聴こえの改善を目指して、聴覚リハビリテーションも実施しております。また補聴器装用後の効果を確認するための補聴器適合検査を実施しております。

聴覚障害の認定および軽度・中等度難聴児補聴器購入費等助成、総合支援法対応補聴器、最新機器まで幅広く相談を受け付けています。他院およびご自身で購入した補聴器の調整・評価も実施しております。

 

詳細(以下のボタンを押していただきますと、説明資料が表示されます)

 

鼻疾患

  • 副鼻腔の評価については、
    慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎、術後性頬部嚢胞、歯性上顎洞炎、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎などに対して鼻副鼻腔内視鏡手術にも力を入れております。
    基礎疾患がない方であれば2泊3日程度の短期入院手術も行なっております。
  • 好酸球性副鼻腔炎は国の指定難病となっており(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4537 )、治療に対して抵抗性のことが多く、術後にポリープの再発が生じやすい難治性副鼻腔炎です。重症度によっては再発するリスクも高くなり、繰り返し手術が必要となることがあります。当院では手術療法を積極的に行なっていますが、手術以外の選択肢として術後の状態に応じて分子標的薬(デュピクセント®︎)を用いた加療も積極的に行なっております。
  • スギやダニの舌下免疫療法を成人を含む小学校高学年以上で実施しております。

その他

  • 嚥下障害については、適切な嚥下評価(嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査など)を行い嚥下訓練を実施しております。必要に応じて栄養科と連携し診療を行なっています。また、入院中の患者様においては嚥下障害の程度に応じて摂食嚥下支援チームと協力しリハビリテーションや診療サポートを積極的に行なっております。毎週院内の症例検討会を医師、摂食嚥下障害認定看護師、薬剤師、言語聴覚士、作業療法士、管理栄養士が集まり他職種が協力し嚥下障害の診療を行なっております。
  • 睡眠時無呼吸症候群の精査や治療を行なっております(テイジン社製やフィリップス社製のCPAPについては他施設からの引き継ぎも対応可能です)。また、近隣歯科医院と連携し口腔内装置(OA)による加療を行なっております。肥満症が原因となっていることも多く、栄養科と連携し診療に当たっております。
  • 声帯結節や声帯ポリープなどの音声疾患については、必要に応じて音声リハビリテーションや喉頭微細手術(声帯ポリープ切除術など)を提案いたします。手術については他院を紹介しております。
  • 慢性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群(主に5歳以上の小児)などに対して、口蓋扁桃摘出術やアデノイド切除術ついては他院を紹介しております。
  • 良性や悪性含め頚部腫瘍性疾患については、精査の上、高次医療施設へ紹介させていただきます。

手術対象疾患

鼻副鼻腔

  • 鼻中隔弯曲症/アレルギー性鼻炎/鼻茸/慢性副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎/鼻腔腫瘍(良性)

1)慢性中耳炎(慢性穿孔性中耳炎)

通常は中耳と外耳は鼓膜で隔てられていますが、穿孔によりこのバリアがなくなることで細菌やカビが中耳内に入り込みます。この状態が慢性中耳炎であり、慢性的な感染が穿孔を拡大し、難聴や体調のすぐれないときに耳漏がでる原因となります。

治療には鼓膜形成術あるいは鼓室形成術がおこなわれます。手術では聴力の改善と耳漏を止めることを目標とします。
手術に関しては穿孔の大きさや場所はもちろんのこと、年齢、耳小骨の可動性、中耳の調圧機構(換気能力)、耳手術歴、保有する菌など人それぞれ異なりますので、それらを慎重に検討し、患者さん一人一人を常に大切に、安全、確実な治療を心がけています。

(2)真珠腫性中耳炎

皮膚および角質は体を守るバリアとしての役割を担っています。
通常は鼓膜の奥の中耳の部屋には皮膚のような細胞はありません(代わりに、分泌物を排泄あるいは、ガスを拡散させる粘膜があり、中耳と外気とをつなげる耳管が中耳のバリアとしての役割を担っています)。

しかし、中耳と外耳を隔てる鼓膜が中耳側へ吸い込まれ大きなポケットを形成したり、鼓膜に穿孔があったり、あるいは先天的な要因により、中耳内に垢をだす細胞が入り込んだ状態を真珠腫性中耳炎と呼びます。

真珠腫には2つの大きな特徴があります。
ひとつは排泄されにくい上皮や垢が、感染などを伴い徐々に周囲の骨を溶かしてしまうことです。中耳のみならず、内耳が破壊され、脳の炎症や、顔面神経の麻痺をひきおこしてしまいます。
もう一つは、再発が多いことです。治療は鼓室形成術による真珠腫の除去および中耳の部屋の再形成が必要です。
当科ではそのような状況をふまえて、慎重な手術前の計画はもちろんのこと、個々の状況にあわせたより確実な真珠腫除去操作、および再発率を極力抑えるべく、より確実な中耳形成を心がけています。
術後は、通気治療やマクロライド療法をおこないながら、真珠腫の再発の確認のため、定期的な画像検査や必要があれば点検手術をおこないます。

医師

江洲 欣彦

耳鼻咽喉科 科長
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会補聴器相談医
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科指導医

日本耳科学会 日本耳科学会認定医

自治医科大学さいたま医療センターより派遣