院長ご挨拶
さいたま市民医療センター(当センター)は平成21年3月に開院し、本年(令和6年)で開設16年目に入ります。この間、市民の皆様から親しまれ、信頼していただける病院となれるよう全職員が一丸となって努力し、年々医療体制も充実してまいりました。ここまで成長できたのは病院職員の昼夜をおかない努力とさいたま市4医師会会員をはじめ、多くの方々のご指導、そして市民の皆様のご理解とご支援の賜物と深く感謝しています。
1.地域に根差した医療の提供
さて、当センターは地域医療支援病院です。すなわち、かかりつけ医の先生との協力のもとに地域の医療を支える役割を担っています。従いまして市民の皆様には、急病以外で初めて診察を希望される時はかかりつけの診療所あるいは病院の先生からの紹介状をお持ちいただくことになっています。そして、当センターでの治療終了後は、かかりつけの紹介医の先生に再びお願いすることを原則としています。こうすることで、入院や手術など当センターでの診断や治療が本当に必要な患者さんへの対応に専念できるようになります。紹介状(診療情報提供書)は、患者さんのこれまでの病気の経過と現在の問題点、内服薬の内容など診療上大変役に立つ重要な情報です。当センターを受診される方は是非かかりつけの先生から紹介状をいただき、予約センターへ電話でご予約ください。
さらに当センターにはいくつかの特徴がありますので、以下に主なものを記述いたします。
2.救急医療
当センターは救急医療にも力を入れています。年間の救急車の受け入れは以前より5,000台前後でしたが、新型コロナウイルス感染症を契機に急激に増加し、昨年は約7,000台の救急車を受け入れたところです。高齢化が進み、救急医療のニーズがますます増加する中で少しでも多くの救急患者さんを受け入れるための体制の充実を図り、納得できる医療の提供のために職員一同日々努力しています。さらに地域の医療機関、介護保健施設、在宅医療チームとの連携も深め、さいたま市内の一般急性期病院としての役割を果たしていきたいと考えています。3. 小児医療
当センターでは成人のみならず小児の医療にも力を入れています。その中でも特に小児救急医療については、さいたま市の小児搬送の約4割を担っています。コロナ禍で小児の救急車の搬送件数は一時減少しましたが、その後はコロナ前に比べ、むしろ大幅に増加しています。また最近注目されている食物アレルギーの経口免疫療法では埼玉県全域から患者さんをご紹介いただいています。このように救急という総合診療とアレルギーをはじめとする専門診療の両輪で頑張ってまいります。4. 総合医と専門医が力を合わせて行う医療
各内科系の医師は高い専門性を有していますが、一方でどの専門であるかにかかわらず、すべての医師が総合医としてのマインドをもって診療にあたっています。その結果、地域の患者さんには高度な専門的医療という縦の糸と総合的医療という横の糸が織りなす満足度の高い調和のある診療を提供しています。このような方針に基づきながら若手医師の教育にも力を入れており、初期研修医および専攻医(卒後3年目以降の若手医師)を受け入れています。市民の皆様にもこの点をご理解いただき、医師養成のための教育病院としての診療体制にご理解をお願いします。5. オールラウンドの外科系診療体制
外科はオールラウンドの手術を行っており胆嚢、大腸、胃、肝胆膵、食道、ヘルニア、虫垂炎の開腹手術、乳腺の手術のみならず、腹腔鏡手術を得意として積極的に行っています。整形外科は股関節、膝関節の人工関節手術を中心に、外傷、救急にも臨機応変に対応し、レベルの高い治療を提供しています。脳神経外科は内科の救急総合医チームと連携しての脳梗塞急性期の血管内治療や開頭手術を行うとともに、小児の頭部外傷にも積極的に対応しています。また、泌尿器科、耳鼻咽喉科は自治医科大学附属さいたま医療センターと連携し、地域のニーズに沿った医療を提供しています。皮膚科外来では皮膚疾患に関して地域の医療機関と協力して親密な医療連携を構築し発展していきたいと思っています。6.がん診療
当センターは「がん診療指定病院」の指定を受け積極的にがんの診療も行っています。手術治療のみならず化学療法も専用の外来病床の拡充を行い、増加するがん診療のニーズにこたえられる体制を築いています。また当センターはがん患者の皆様の生活支援や就労支援をモットーに、がんに関する緩和ケア、セカンドオピニオン、その他の相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
7.災害拠点病院
地震、水害など、わが国は常に災害の危険にさらされています。当院は災害拠点病院に指定されており、いざ災害が起きた際には地域において災害医療の中心的役割を果たすことが期待されています。日ごろより行政、医師会、薬剤師会、歯科医師会、近隣地区の医療機関等の皆様と協力して、災害に強い地域づくりを目指して活動しています。
8.リハビリテーション治療の充実
超高齢化が進行する現在、リハビリテーションの果たす役割はますます大きくなってきています。病気が治っても、特に高齢の患者さんでは一定期間の入院によって筋力・体力が低下し、いきなり自宅に退院しても通常の生活に支障をきたすことがしばしばあり、それを防ぐためにはリハビリテーションが極めて有効な手段となります。センターでは回復期リハビリテーション病棟を設置し、退院後の急性期の患者さんも早めに受け入れています。その結果急性期リハビリ・回復期リハビリと継続的に行える体制が構築できています。
このように私たちさいたま市民医療センターはあらゆる面から皆さまの健康と生命を守る医療機関として地域に貢献すべく、これからも精一杯頑張ってゆく所存です。
引き続きご支援とご鞭撻をお願い致します。
令和6年1月
さいたま市民医療センター
院長 百村 伸一